- 定常時地殻変動補正サイトは、高精度測位情報を国家座標に基づく地図などの地理空間情報に整合させるための補正パラメータファイルや補正計算機能を提供するサイトです。
- 定常時地殻変動とは、プレート運動に伴う定常的な地殻変動や一時的な広域地殻変動(スロースリップ、余効変動等)、広域的な地盤沈下のことです。
-
準天頂衛星システム「みちびき」のセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)や精密単独測位(PPP)などを利用した高精度な測位情報の利用が、様々な分野で進んでいます。
高精度測位情報を地図などの地理空間情報と組み合わせて高度に利活用することにより、建機や農機の自動制御、ドローン物流、移動支援、混雑状況の把握、自動走行などの高度な活用が可能となり、生産性の向上や新たなサービスの創出が期待されています。
しかし、我が国では複雑な地殻変動の影響により、そのままでは高精度測位情報と地図が正しく重なり合わないため、高精度測位情報の活用に支障を来すことが懸念されます。
定常時地殻変動補正システムは、このような高精度測位情報と地図などの地理空間情報とのズレを誰でも簡単に補正できるようにするために整備されました。
地殻変動補正の必要性について、こちらの解説ページもご覧ください。
-
地震により大きな地殻変動が生じた場合、地図などの地理空間情報は現況に適合するように修正されます。
そのため、平時でも地震後でも、定常時地殻変動補正のみを測位結果に適用すれば、地図などの地理空間情報に整合させることができます。
ただし、地図などの地理空間情報が修正されるまでの間は、定常時地殻変動補正を適用できないことになりますのでご注意ください。 -
補正計算サイトは、従来では測量や測地学の専門家でなければ難しかった地殻変動補正を誰でも正しく簡単に行うことができるよう構築しています。
具体的には、以下のような機能があります。
- 高精度測位情報(緯度・経度・高さ)をウェブブラウザの画面で1点ずつ入力して補正する機能
- 複数の高精度測位情報(緯度・経度・高さ)を記載したテキストファイルをブラウザの画面を通じて読み込み、一括補正する機能
- webAPIで補正結果や補正量を1点ずつ、または一括で受け取る機能
- 補正計算を行うための「地殻変動補正パラメータファイル」をダウンロードする機能
-
補正計算サイト トップページで「技術情報」ボタンを押すと「技術情報ページ」に遷移します。
技術情報ページの利用規約をご覧ください。 - 定常時地殻変動補正サイトは、国際地球基準座標系(ITRF)に準拠した測位結果を国家座標(測地成果2011)に整合するように補正するためのサイトです。
- 「SemiDynaEXE」は電子基準点のみを既知点とする基準点測量の際に利用しますが、POS2JGD(本サイト)はCLASやPPPなどの単独測位に基づく高精度測位情報の補正に利用します。
2.補正計算画面に関するご質問
-
それぞれ、以下のような用途を想定しています。
補正の内容 用途 測位結果を国家座標に合わせる 高精度測位情報を地図などの地理空間情報に整合させるための補正を行います。物流用ドローンやICT建機・スマート農機に搭載された衛星測位モジュール等で得られる高精度測位情報を地図に重ね合わせ、運行管理や自動制御を行うような場合に利用します。 国家座標を測位に合わせる 地図などの地理空間情報で示された地点や地物(建物や道路など)の位置を、高精度測位情報に整合させるための補正を行います。ウェブ地図上で指定した地点の緯度経度を補正して物流用ドローンやICT建機・スマート農機の制御モジュール等に渡し、目的地指定や運行管理を行うような場合に利用します。 -
補正対象の座標値(高精度測位情報)を取得(計測)した日を指定してください。
例えば、2021年3月22日にスマート農機のGNSSモジュールで取得した測位結果を補正する計算を実行する場合、「測位実施日」欄は「2021-03-22」としてください。 -
補正したい複数の測位結果座標値(緯度・経度・高さ)を所定の形式で記載した入力ファイルを作成し、補正計算サイトの画面を操作して読み込むことにより、一括補正計算を行うことができます。
詳しくは、「操作方法」をご覧ください。 - 「高さ」の欄には、原則として楕円体高を入力してください。
-
地殻変動補正サイトでは、入力されたX 座標値(平面直角座標)とY 座標値(平面直角座標)を、ユーザが指定した系番号にもとづき緯度経度に換算してから補正計算を行います。この換算が適切に行われるかどうかを示す指標が「縮尺係数」です。 縮尺係数が1.0002 を超える場合は正確な補正計算ができないため、このようなエラーメッセージが表示されます。入力値や系番号の指定が正しいかどうかをご確認ください。
(参考ページ)わかりやすい平面直角座標
-
地殻変動補正サイトでは、ユーザが指定した系番号にもとづき補正結果(緯度経度)を平面直角座標に換算します。この換算が適切に行われるかどうかを示す指標が「縮尺係数」です。 縮尺係数が1.0002 を超える場合は正確な補正計算ができないため、このようなエラーメッセージが表示されます。指定した系番号が適切かどうかをご確認ください。
(参考ページ)わかりやすい平面直角座標
- 計算過程の端数処理手順の違いにより、画面に表示された「補正結果」と「入力値と補正量から算出した補正後の値」がわずかに異なる場合があります。
入力値を確認してください。
系番号を確認してください。
3.地殻変動補正パラメータファイルに関するご質問
-
地殻変動補正パラメータファイルは、本補正計算サイトページの補正パラメータダウンロードからダウンロードしてご利用いただけます。
地殻変動補正パラメータファイルは、「国土地理院コンテンツ利用規約 」に従ってご利用ください。
-
補正対象の座標値(高精度測位情報)を取得(計測)した日を指定してください。
例えば、2021年3月22日にスマート農機のGNSSモジュールで取得した測位結果を補正するために地殻変動補正パラメータファイルをダウンロードする場合、「測位実施日」欄は「2021-03-22」としてください。 -
地殻補正パラメータファイルの「有効期間」とお考えください。
例えば、「適用期間:2020年12月1日から2021年02月28日まで」の地殻変動補正パラメータを使用する場合、期間内(2020年12月13日など)に計測された測位結果は補正可能ですが、期間外(2020年11月20日や2021年3月4日)に計測された測位結果は補正することができません。 - 国家座標の元期から「基準年月日」までの地図と測位のズレをもとに、地殻変動補正パラメータが作成されています。
- 地殻変動補正パラメータファイルを公開または更新した日の日付です。
- 定常時地殻変動補正システムの地殻変動補正パラメータは、原則として3ヶ月に1度の頻度で更新します。
- 対象地域は日本全土(一部離島を除く)です。
-
地殻変動補正パラメータを使えば、どんな測位結果(座標値)でも正しく補正できるわけではありません。補正パラメータ毎に、特定の基準座標系に準拠した測位結果だけが補正の対象として想定されています。
「パラメータの適用対象:geonetF3に基づく測位結果」と表示されている場合、その補正パラメータファイルを使用して「電子基準点の日々の座標値(F3解)」にもとづいて計測された測位結果を補正することができます。 -
地殻変動補正パラメータを使えば、どんな測位結果(座標値)でも正しく補正できるわけではありません。補正パラメータ毎に、特定の基準座標系に準拠した測位結果だけが補正の対象として想定されています。
「パラメータの適用対象:ITRF2014に基づく測位結果」と表示されている場合、その補正パラメータファイルを使用して「国際地球基準座標系(ITRF2014)」にもとづいて計測された測位結果を補正することができます。 -
定常時地殻変動補正サイト(POS2JGD)の地殻変動補正パラメータファイルは、以下のような規則で命名されています。
pos2jgd_YYYYMM_XXXXXXXX.par
キーワード 内容 YYYYMM 地殻変動補正パラメータの「基準年月日」の略称です。基準年月日が「2020年10月1日」の場合、YYYYMM=202010です。 XXXXXXXX 地殻変動補正パラメータが補正の対象とする測位結果の種類を表す文字列です。
geonetF3:電子基準点日々の座標値(F3解)に基づく測位結果が補正の対象であることを表す文字列です。
ITRF2014:国際地球基準座標系(ITRF2014)に基づく測位結果が補正の対象であることを表す文字列です。 -
補正パラメータファイルはZIP形式で圧縮されています。解凍してご利用ください。
解凍後の補正パラメータファイルはテキスト形式です。
4.その他のご質問
-
国家座標とは、その国の位置の基準です。具体的には、その国において緯度、経度、高さやこれに準ずる座標(数値)で位置を表す場合の基準をいいます。我が国においては、測量法第11条で定められた基準に準拠した緯度、経度、標高、平面直角座標、地心直交座標が、測量に限らず、様々な法令や民間の地図や図面などで位置を表現する場合の基準として用いられ、国家座標となっています。
同じ位置の数値が複数存在すると社会的な混乱が生じてしまいますが、国家座標に準拠・整合したものに統一されていることで、誰もが安心して位置情報を利活用することが可能となっています。
詳しくは、国家座標をご覧ください。 - GPSやみちびきなどを利用した衛星単独測位方式により得られる高精度な位置情報のことを、「高精度測位情報」と呼んでいます。
-
POS2JGDというサイト名は、「測位結果(POSitions)を国家座標(the JGD)に整合させるサイト(the site that aligns POSitions to the JGD)」という意味を込めて名付けられました。英語の前置詞「to」の代わりに発音が類似する「2」を使用しています。
読み方は「ポス・トゥー・ジェイジーディー」です。 - 「測地成果2011」は現在の日本の国家基準点成果で、我が国で採用している位置の基準にもとづく国家座標です。
-
みちびきは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システム(衛星からの電波によって位置情報を計算するシステム)です。衛星測位システムの中では米国のGPSがよく知られており、このシステムを日本版GPSと呼ぶこともあります。
(みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイトより引用)
詳しくは「みちびき公式サイト」をご覧ください。 -
高精度な衛星測位を行うため、国土地理院が全国に整備している電子基準点のデータを利用して補正情報を計算し、現在位置を正確に求めるための情報(センチメータ級測位補強情報)をみちびきから送信するサービスです。
(みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイトより一部引用)
詳しくは「みちびき公式サイト」をご覧ください。 - 搬送波位相と補正情報を使用し、単独測位方式で高精度な測位を行う技術の総称です。
-
セミ・ダイナミック補正と定常時地殻変動補正は、地殻変動量を補正するという点は共通ですが、使用目的とそれに応じた補正パラメータ提供の頻度が異なります。
セミ・ダイナミック補正用の地殻変動補正パラメータは、電子基準点のみを既知点とする相対測位方式の測量において地殻変動によるひずみの影響を補正するために用いられます。元期、今期間の往復補正を行うため通常は年1回更新(毎年度4月1日)しています。
定常時地殻変動補正用の地殻変動補正パラメータは、衛星測位により得られる高精度測位情報を利活用する際に、地殻変動により生じる地図(地理空間情報)と測位のずれを補正するために用いられます。地図と測位のずれを片道補正するため、パラメータの相対精度だけでなく補正量そのものの絶対精度が要求されることより、年4回更新(3ヶ月毎)しています。